——月刊コミック「電撃大王」で『凪のあすから』を連載中の前田先生ですが、この作品で先生のことを知った方もいらっしゃると思います。そこでまずはプロフィール的なことをお聞かせいただければと思うのですが、作品はご兄弟お二人で描かれているんですよね。
兄
はい。双子の兄弟で兄の僕が背景や仕上げなどを担当して、弟がネームやキャラクターを担当しています。
——いつ頃から漫画家を目指されたのでしょうか?
弟
きっかけは大友克洋先生の『AKIRA』でした。中学2、3年生の頃に読んだのですが、そこで衝撃を受けて「こういう絵を描きたい!」と真似するようになりました。
兄
背景を描き込むのは昔から好きだったのですが、『AKIRA』を読んでからは崩れ落ちるビルばかり描いていました(笑)。本当に最初はいろんな方の絵を真似しながら描くということをずっとしていましたね。本格的に目指したのは18、19歳くらい。好きで描いてたものを投稿したのですが、結果が出なくて、もう1回挑戦しようと。そんな形で 徐々に進んでいった感じです。
弟
実は、最初別々の作品を描いていたんです。でもお互いにお互いの作品を手伝うようになって、そのうち分担ができて、最終的に2人で作ったほうがいい作品になると気付いて(笑)。デビューする際に連名にするのも変かなと思って、今のペンネームにしました。
——今回『凪のあすから』のコミカライズ作品を担当することになった経緯をお聞かせいただけますか?
兄
そこにいらっしゃる担当編集の小林さんからの強いプッシュでした(笑)。
小林
『凪のあすから』はキャラクターの描写もそうですが、背景もしっかり描かないと世界観が出せないと思ったんです。キャラクターを可愛く描けるのはもちろん、絵の雰囲気が作品にマッチして、なおかつ背景などの描き込みも丁寧な前田先生にぜひお願いしたいと強烈なオファーをさせていただきました(笑)。
——実際に連載を始められていかがですか?
弟
最初に概要をお聞きして資料をいただいたのですが、まず思ったことは自分たちでは描くことのない世界だなと。これまではどちらかと言うとアクション、少年誌寄りの作品が好きで描いていたのですが、ここまでファンタジーかつ恋愛を主にした作品はやったことがなかったんです。でも逆に、自分たちにはない世界で少年少女たちの群像劇を描けることはとても面白く感じました。
——『凪のあすから』では海村(汐鹿生)など海の中も舞台として登場しますが、その世界観を漫画で表現する際、一番苦労されたのはどこでしょうか?
弟
海の中の表現は難しいとは思っていましたが、海や山、自然が好きなので挑戦してみたいとも思っていたんです。
兄
でもやってみたら大変だった(笑)。海は常に変化しているものですし、それを全部線で描こうとするとゼリーみたいに固いものになってしまう。また漫画は基本モノクロなので、色で表現することも難しいんですよね。フィルターをかぶせたとしても画面が汚くなってしまったら意味がない。海の柔らかさ、水中感をどうやって表現すればいいのか最初は悩みました。
弟
また光たちが泳いでいれば海の中ということは分かりますが、地上と同じように歩いて普通に生活をしている。どうやったら地上と海中の描き分けができるか試行錯誤しましたね。最終的にはアニメと同様に、魚や泡を描くことで海中っぽさを表現することにしましたが、当初は本当に手探り状態でした。
——ブリキさんのキャラクター原案、石井(百合子)さんのキャラクターデザインにはどんな印象をお持ちですか?
弟
最初にいただいたのがブリキさんの原案でした。ブリキさんの絵はとても特徴的で、どこまで真似たらいいのかなと悩んだんですが、担当編集の小林さんから「前田さんの絵でいいです」と言われ、そこでまた悩みました(笑)。でも石井さんのキャラクターデザインを見て、なるほどと。色合いとかキャラクターの雰囲気はブリキさんの絵を参考にしつつ、線として表現する時は石井さんのキャラクターデザインを参考にさせていただきました。
——描くのが難しいキャラクターはいますか?
弟
ちさきは難しいですね。髪型が片方ポニーテールのようになっていて、右を向いた時と左を向いた時で印象が変わらないよう注意しています。また5年後になることも意識して、ほかのキャラクターより若干大人っぽくしています。あとは光の髪型が意外と難しい(苦笑)。ツンツン頭は少年誌の王道なんですが、ツンツンが均等だとあまりに格好悪い、シーンにあわせて適度にバランスを取りつつ描いています。
兄
まなかは可愛らしく描くというのを意識しているよね。
弟
“愛らしく”というのがまなかを一番表現できるかなと。あと紡は描きやすいですね。あまり感情を顔に出さないんだけれども、まなかが魚の真似をしたら信じてしまうようなところもあって、裏表がなく、素直なんですよね。そこがキャラクターの魅力だなって。逆に要は難しい(笑)。紡と同じく、あまり感情を表に出すタイプではないのですが、ポーカーフェイスの裏に隠された感情を描くのが難しいですね。
——お気に入りのシーンやセリフは?
兄
難しいですね。本当にいろいろ印象的なシーンがありますから……その中でもどこか挙げるとすれば第一話でまなかが紡に吊り上げられるシーン。象徴的な場面でもありますし、漫画でも力が入りました。
弟
僕も同じですね。ただ自分は今描いているちょっと先の話数しかシナリオを読まないようにしているんです。すべてを知ってしまうと先を意識して描いてしまう。それにシナリオを読んで驚いたり感動した部分を漫画で表現したいなと思っています。
——では最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。
弟
原作のアニメは一流のスタッフの方が関わって素晴らしい映像になっています。漫画は漫画なりに『凪のあすから』のコミカルな部分、明るく楽しい雰囲気を描ければと思っています。
兄
漫画ならではの『凪のあすから』を楽しんでもらえれば嬉しいですね。
兄
はい。双子の兄弟で兄の僕が背景や仕上げなどを担当して、弟がネームやキャラクターを担当しています。
——いつ頃から漫画家を目指されたのでしょうか?
弟
きっかけは大友克洋先生の『AKIRA』でした。中学2、3年生の頃に読んだのですが、そこで衝撃を受けて「こういう絵を描きたい!」と真似するようになりました。
兄
背景を描き込むのは昔から好きだったのですが、『AKIRA』を読んでからは崩れ落ちるビルばかり描いていました(笑)。本当に最初はいろんな方の絵を真似しながら描くということをずっとしていましたね。本格的に目指したのは18、19歳くらい。好きで描いてたものを投稿したのですが、結果が出なくて、もう1回挑戦しようと。そんな形で 徐々に進んでいった感じです。
弟
実は、最初別々の作品を描いていたんです。でもお互いにお互いの作品を手伝うようになって、そのうち分担ができて、最終的に2人で作ったほうがいい作品になると気付いて(笑)。デビューする際に連名にするのも変かなと思って、今のペンネームにしました。
——今回『凪のあすから』のコミカライズ作品を担当することになった経緯をお聞かせいただけますか?
兄
そこにいらっしゃる担当編集の小林さんからの強いプッシュでした(笑)。
小林
『凪のあすから』はキャラクターの描写もそうですが、背景もしっかり描かないと世界観が出せないと思ったんです。キャラクターを可愛く描けるのはもちろん、絵の雰囲気が作品にマッチして、なおかつ背景などの描き込みも丁寧な前田先生にぜひお願いしたいと強烈なオファーをさせていただきました(笑)。
——実際に連載を始められていかがですか?
弟
最初に概要をお聞きして資料をいただいたのですが、まず思ったことは自分たちでは描くことのない世界だなと。これまではどちらかと言うとアクション、少年誌寄りの作品が好きで描いていたのですが、ここまでファンタジーかつ恋愛を主にした作品はやったことがなかったんです。でも逆に、自分たちにはない世界で少年少女たちの群像劇を描けることはとても面白く感じました。
——『凪のあすから』では海村(汐鹿生)など海の中も舞台として登場しますが、その世界観を漫画で表現する際、一番苦労されたのはどこでしょうか?
弟
海の中の表現は難しいとは思っていましたが、海や山、自然が好きなので挑戦してみたいとも思っていたんです。
兄
でもやってみたら大変だった(笑)。海は常に変化しているものですし、それを全部線で描こうとするとゼリーみたいに固いものになってしまう。また漫画は基本モノクロなので、色で表現することも難しいんですよね。フィルターをかぶせたとしても画面が汚くなってしまったら意味がない。海の柔らかさ、水中感をどうやって表現すればいいのか最初は悩みました。
弟
また光たちが泳いでいれば海の中ということは分かりますが、地上と同じように歩いて普通に生活をしている。どうやったら地上と海中の描き分けができるか試行錯誤しましたね。最終的にはアニメと同様に、魚や泡を描くことで海中っぽさを表現することにしましたが、当初は本当に手探り状態でした。
——ブリキさんのキャラクター原案、石井(百合子)さんのキャラクターデザインにはどんな印象をお持ちですか?
弟
最初にいただいたのがブリキさんの原案でした。ブリキさんの絵はとても特徴的で、どこまで真似たらいいのかなと悩んだんですが、担当編集の小林さんから「前田さんの絵でいいです」と言われ、そこでまた悩みました(笑)。でも石井さんのキャラクターデザインを見て、なるほどと。色合いとかキャラクターの雰囲気はブリキさんの絵を参考にしつつ、線として表現する時は石井さんのキャラクターデザインを参考にさせていただきました。
——描くのが難しいキャラクターはいますか?
弟
ちさきは難しいですね。髪型が片方ポニーテールのようになっていて、右を向いた時と左を向いた時で印象が変わらないよう注意しています。また5年後になることも意識して、ほかのキャラクターより若干大人っぽくしています。あとは光の髪型が意外と難しい(苦笑)。ツンツン頭は少年誌の王道なんですが、ツンツンが均等だとあまりに格好悪い、シーンにあわせて適度にバランスを取りつつ描いています。
兄
まなかは可愛らしく描くというのを意識しているよね。
弟
“愛らしく”というのがまなかを一番表現できるかなと。あと紡は描きやすいですね。あまり感情を顔に出さないんだけれども、まなかが魚の真似をしたら信じてしまうようなところもあって、裏表がなく、素直なんですよね。そこがキャラクターの魅力だなって。逆に要は難しい(笑)。紡と同じく、あまり感情を表に出すタイプではないのですが、ポーカーフェイスの裏に隠された感情を描くのが難しいですね。
——お気に入りのシーンやセリフは?
兄
難しいですね。本当にいろいろ印象的なシーンがありますから……その中でもどこか挙げるとすれば第一話でまなかが紡に吊り上げられるシーン。象徴的な場面でもありますし、漫画でも力が入りました。
弟
僕も同じですね。ただ自分は今描いているちょっと先の話数しかシナリオを読まないようにしているんです。すべてを知ってしまうと先を意識して描いてしまう。それにシナリオを読んで驚いたり感動した部分を漫画で表現したいなと思っています。
——では最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。
弟
原作のアニメは一流のスタッフの方が関わって素晴らしい映像になっています。漫画は漫画なりに『凪のあすから』のコミカルな部分、明るく楽しい雰囲気を描ければと思っています。
兄
漫画ならではの『凪のあすから』を楽しんでもらえれば嬉しいですね。