INTERVIEW インタビュー

 

——まずは花江さんが演じられている主人公・先島光というキャラクターを、あらためてご紹介いただけますか?

光くんは、陸の人々に対して対抗心を燃やしているというか自分から突っ込んでいく、とても正義漢の強いハッキリした子なんですが……恋愛のことになると奥手で照れ屋さん。幼馴染みの(向井戸)まなかに対してはお兄ちゃんのように振る舞っていますが、自分の思ってることは上手く伝えられないんですよね。

——ご自身と似ている部分はありますか?

負けず嫌いなところはたぶん似てると思います。お仕事でも、たくさんの魅力的な役者さんに負けたくないぞ! と思いますし、遊びだと対戦ゲームで負けるとかなり悔しい、もう1回……みたいな。そして、光と同じように空回りするタイプかも知れないです(笑)。

——光という役にはすんなり入り込めましたか?

そうですね。光は、要や紡のように本心が見えにくい子ではないですから、気持ちがよく分かりました。それを素直に伝えられるように演じさせていただいてます。彼はとても中学生らしい中学生なので、僕が中学生だった頃を思い出しながら、その時感じたままガムシャラに、自然に想いを伝えることを意識しています。

——光たちが暮らす汐鹿生は海の中にあります。水中での演技を意識されることはありますか?

海の中といっても、光たちは普通に生活しているので特別意識することはないんですが、地面を蹴るとシュッと身体が上にいく。その力を入れた時の「フッ」という息の音を入れるべきかはいつも悩みますね。あと海から頭が出る時も、息を入れたほうがいいのかどうか……未だに結論は出ていないんですが、いちおう「ブハーッ」と言うようにしています。

——そんな『凪のあすから』のアフレコ現場は、どのような雰囲気でしょうか。

メインキャスト男性組、要役の逢坂(良太)さんと紡役の(石川)界人くんと3人でいる時は男子校のようなノリです。もちろん実際に演技する時は空気が引き締まりますが、それ以外では、肩の力を抜いたとてもアットホームな気持ちで仕事ができています。女性陣も女子校みたいなノリでキャピキャピしているので、見ていて微笑ましいですね。

——花江さんは先行上映会に登壇された際に、第一話を初めてご覧になったとおっしゃっていましたが、完成映像を見てのご感想を改めて聞かせていただけますか?

PVの時から感じていましたが、画がとにかく繊細。色使いも綺麗だし、いつ観ても引きこまれます。第一話だけでももう10回くらい見返したんですが、毎回「こんなところにこんな細かい描き込みがあったんだ!」という発見があって楽しいです。特に第一話は、ラストで光がまなかにジェラシーを感じながら手を繋いで泳いでいって……エンディング曲に繋がる。あそこで何度もグッときました。

——ほかに印象的なセリフ、シーンはどこでしたか?

第五話で、あかりのことで苦しむ美海ちゃんを、海の中でギュッとするシーンですね。光はまなかのことを考えつつ美海を抱きしめていて、美海はまんざらでもない感じで……とても複雑に感情が交錯していて印象的。僕らもお話の大まかな内容しか知らないので、誰と誰がどうなっていくのかも全然予想できなくて……毎週、台本をもらうたびにワクワクしながら読んでいます。

——ところで花江さんご自身の中学時代は、どんな男の子でしたか?

今はインドア派なんですけど、中学時代はテニス部にも入っていたし、けっこう活発でした。クラスでもわりとうるさい子が集まるグループの中にいたので、毎日が楽しかったですね。僕も光と同じで好きな子がいても意地悪しちゃったり……肝心なことは何も言えなかったので、彼のもどかしさにも共感します!(笑)。

——そんな思春期の少年少女の恋愛と共に、『凪のあすから』は海村と陸の人々との対峙を描く物語でもあります。ちなみに花江さんは、海と山ならどちら派ですか?

どちらかと聞かれると海かな。僕の地元も海に近くて、1kmくらい泳ぐと飛び込みができるような岩場があるんですけど、夏休みなどはよくそこまで行って遊んでました。

——本作は海を舞台にしたファンタジー物語でもありますが、花江さんが子供の頃お好きだったファンタジー、童話や絵本は何でしたか? 内容はもうあまり覚えていないんですが、『ふらいぱんじいさん』と『ぞうのエルマー』の絵本が印象に残っています。でもどちらかというと僕はゲームが大好きなので、ファンタジーな世界はゲームのほうが馴染みがありますね。王道のRPGとか、メルヘンなアクションゲームとか好きです。

——ファンタジーな設定といえば、第三話には「お腹の赤いウミウシに、誰にも言えない気持ちを伝えると教えてくれるんだよね、これから先のこと」という台詞もありました。もし、花江さんがこの先のことをひとつだけ知ることができるとしたら……?

自分自身のことだと……寿命とか?。でもそれが分っちゃうのも怖いので、未来のテクノロジーによって医療技術がどこまで進化するかは知りたいかも。あとは、光の今後ですね。今のところ、光は紡に歯が立たない感じなので……果たして光はハッピーエンドを迎えられるのかどうか!

——それは全員が知りたいことかも知れません(笑)。その光の今後を楽しみにしているファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

『凪のあすから』は不思議な世界観のファンタジー要素が強い作品ですが、人間関係はとても繊細でリアル。中学生の繊細な気持ちがキャラクターごとに表現されています。ファンタジーなのに心がちょっと苦しくなる、今まで経験したことのない気持ちになれる作品だと思います。光もきっと幸せになれるんじゃないかな?……と僕は思っているので、見続けていただけたらと思います。またP.A.WORKSさんならではの美しい画も楽しめますので、そこにもぜひ注目してください。そして……見ていてしばらくはヤキモキすることもあるかもしれませんが、光を嫌いにならないでくださいね。(笑)