――出羽さんはamazarashiや中島美嘉さんのプロデュースを筆頭に、ドラマ『黒の女教師』『クロコーチ』、アニメ「AMNESIA」など多数の劇伴制作でもご活躍ですが、『凪のあすから』には、どんな印象を持たれましたか?
楽曲制作に入るにあたり台本を読ませていただいたのですが、この『凪のあすから』は、台本の先をどんどん読みたくなる内容で、友情、家族愛と温かい部分がたくさんあって、僕も台本を読みながら何度か泣いてしまいました。実際に映像を観ても、綺麗な背景に感激しました。
――劇伴の全体的なコンセプトは、篠原監督、明田川音響監督と話し合われたのでしょうか。
はい、まずはどういった楽曲が欲しいかというメニュー表をいただきました。具体的には、海が舞台なのでアンビエントっぽい曲を中心にという大筋のお話でしたが、コンセプトの基本は恋愛。そこでの感情の動きは丁寧に表現したいとおっしゃられていました。他の作品だと情景描写なども多めにオーダーされるんですが、『凪のあすから』はキャラクターの心情を描写する楽曲の割合がとても多かったです。また篠原監督からは「感動できるものを!」というオーダーもあり、メロディーを大切にしようと。トータル40曲ほどのオーダーのうち、半分は心情曲。「せつなさ」「優しさ」「苦悩・悩み」と大きく3種類ほどのカテゴリーがあり、それぞれ6〜7曲のバリエーションを作りました。
――同じ心情を表現する曲が6〜7曲ずつというのは、書き分けは大変だったのでは?
そうですね(苦笑)。僕ひとりのメロディー感だけだと、どれだけバリエーションを出したつもりでも、根本は同じになってしまう。それなら他のアーティストさんにも参加してもらい、幅を広げようと思いました。そこで一部の楽曲を渡辺善太郎さん、Saigenjiさん、DEPAPEPEさん、川田俊介さんにも作曲いただき、いわゆる劇伴らしい曲のほうは僕のほうで作って、取りまとめる形にしました。
――参加アーティストの皆さんを簡単にご紹介いただけますでしょうか。
ピアノがメインになる曲は、美しいメロディーラインが命ということで、僕が樹海というユニットをやっていた時にプロデュースしていただいていた渡辺善太郎さんにお願いしています。Saigenjiさんは、ブラジルなど南米音楽がお得意な方。作品の舞台は日本的な風景ですが、“海”が感じられるアーティストさんがいいだろうと、お願いしました。DEPAPEPEさんは、アコースティックギターのインストゥルメンタルユニット。“海”によく似合う爽やかで多国籍的な楽曲を作っていただきました。川田さんはオーケストレーションが得意な若手の方です。最終的には僕が20曲、残りの20曲を皆さんで手分けして担当いただいてます。
――全体を通して、アコースティックな音色が印象的な曲が多いですね。
サウンドも、監督さんサイドから「生楽器中心でいいのでは?」というお話があったので、アコースティックな音色を中心に考えていきました。ピアノ、ストリングス、木管楽器は生でレコーディングし、自分の曲はギターも僕が弾いています。アコースティック楽器の瑞々しい音は、海の表現にも合いますから。僕の曲に関していえば、同じピアノサウンドでも、キャラクターの心情に寄った曲は生ピアノ、海の風景を表現するような曲はシンセピアノでと、音色も使い分けています。
――出羽さんが作られたなかで、苦労された楽曲は?
劇中にも何度も名前が出てきている“おふねひき”の歌です。男の村人が合唱するのですが、歌詞を先にいただいて、それに合わせてメロディーを考えなければならなかったので、僕にとっては難しい曲作りでした。歌詞にも「♪ほーいほい」とか、お囃子的な言葉が多く出てきますし、海の生き物の名前が出てきたり、詞だけ見るとコミカルな響きがあるので……それをどう扱ったらいいものかと(苦笑)。いつもはピアノやギターを弾きながら作曲しますが、この曲ばかりは村人の気持ちになって、鼻歌のように歌詞を自分で歌いながらメロディーをつけていきました。
――他に印象的な曲がありましたらお聞かせください。
制作中にちょうど大阪の実家に帰る用事があり、子供時代に使っていた懐かしいピアノで作った曲が思い出深いです。「優しさ」や「せつなさ」の曲、ストーリー中盤でかなり重要なシーンで使われる曲など、シンプルな構成でメロディーを重視した3〜4曲でしたが、昔の自分を思い出すいい機会にもなりました。
――『凪のあすから』は恋と共にファンタジーもキーワードです。出羽さんが、子供時代にお好きだった絵本や童話などのファンタジーな本を教えていただけますか?
子供の頃は、積み木と電車でばかり遊んでいたので、絵本もテレビもあまり観なかったんですよ。ただ記憶にあるのは『ノンタン』かな(笑)。
――では最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
『凪のあすから』は、ふだんアニメを観ない方にもお薦めしたい作品です。劇伴もいい仕上がりになりました。物語と共に、楽曲のほうも楽しんでいただけたら嬉しいです。
楽曲制作に入るにあたり台本を読ませていただいたのですが、この『凪のあすから』は、台本の先をどんどん読みたくなる内容で、友情、家族愛と温かい部分がたくさんあって、僕も台本を読みながら何度か泣いてしまいました。実際に映像を観ても、綺麗な背景に感激しました。
――劇伴の全体的なコンセプトは、篠原監督、明田川音響監督と話し合われたのでしょうか。
はい、まずはどういった楽曲が欲しいかというメニュー表をいただきました。具体的には、海が舞台なのでアンビエントっぽい曲を中心にという大筋のお話でしたが、コンセプトの基本は恋愛。そこでの感情の動きは丁寧に表現したいとおっしゃられていました。他の作品だと情景描写なども多めにオーダーされるんですが、『凪のあすから』はキャラクターの心情を描写する楽曲の割合がとても多かったです。また篠原監督からは「感動できるものを!」というオーダーもあり、メロディーを大切にしようと。トータル40曲ほどのオーダーのうち、半分は心情曲。「せつなさ」「優しさ」「苦悩・悩み」と大きく3種類ほどのカテゴリーがあり、それぞれ6〜7曲のバリエーションを作りました。
――同じ心情を表現する曲が6〜7曲ずつというのは、書き分けは大変だったのでは?
そうですね(苦笑)。僕ひとりのメロディー感だけだと、どれだけバリエーションを出したつもりでも、根本は同じになってしまう。それなら他のアーティストさんにも参加してもらい、幅を広げようと思いました。そこで一部の楽曲を渡辺善太郎さん、Saigenjiさん、DEPAPEPEさん、川田俊介さんにも作曲いただき、いわゆる劇伴らしい曲のほうは僕のほうで作って、取りまとめる形にしました。
――参加アーティストの皆さんを簡単にご紹介いただけますでしょうか。
ピアノがメインになる曲は、美しいメロディーラインが命ということで、僕が樹海というユニットをやっていた時にプロデュースしていただいていた渡辺善太郎さんにお願いしています。Saigenjiさんは、ブラジルなど南米音楽がお得意な方。作品の舞台は日本的な風景ですが、“海”が感じられるアーティストさんがいいだろうと、お願いしました。DEPAPEPEさんは、アコースティックギターのインストゥルメンタルユニット。“海”によく似合う爽やかで多国籍的な楽曲を作っていただきました。川田さんはオーケストレーションが得意な若手の方です。最終的には僕が20曲、残りの20曲を皆さんで手分けして担当いただいてます。
――全体を通して、アコースティックな音色が印象的な曲が多いですね。
サウンドも、監督さんサイドから「生楽器中心でいいのでは?」というお話があったので、アコースティックな音色を中心に考えていきました。ピアノ、ストリングス、木管楽器は生でレコーディングし、自分の曲はギターも僕が弾いています。アコースティック楽器の瑞々しい音は、海の表現にも合いますから。僕の曲に関していえば、同じピアノサウンドでも、キャラクターの心情に寄った曲は生ピアノ、海の風景を表現するような曲はシンセピアノでと、音色も使い分けています。
――出羽さんが作られたなかで、苦労された楽曲は?
劇中にも何度も名前が出てきている“おふねひき”の歌です。男の村人が合唱するのですが、歌詞を先にいただいて、それに合わせてメロディーを考えなければならなかったので、僕にとっては難しい曲作りでした。歌詞にも「♪ほーいほい」とか、お囃子的な言葉が多く出てきますし、海の生き物の名前が出てきたり、詞だけ見るとコミカルな響きがあるので……それをどう扱ったらいいものかと(苦笑)。いつもはピアノやギターを弾きながら作曲しますが、この曲ばかりは村人の気持ちになって、鼻歌のように歌詞を自分で歌いながらメロディーをつけていきました。
――他に印象的な曲がありましたらお聞かせください。
制作中にちょうど大阪の実家に帰る用事があり、子供時代に使っていた懐かしいピアノで作った曲が思い出深いです。「優しさ」や「せつなさ」の曲、ストーリー中盤でかなり重要なシーンで使われる曲など、シンプルな構成でメロディーを重視した3〜4曲でしたが、昔の自分を思い出すいい機会にもなりました。
――『凪のあすから』は恋と共にファンタジーもキーワードです。出羽さんが、子供時代にお好きだった絵本や童話などのファンタジーな本を教えていただけますか?
子供の頃は、積み木と電車でばかり遊んでいたので、絵本もテレビもあまり観なかったんですよ。ただ記憶にあるのは『ノンタン』かな(笑)。
――では最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
『凪のあすから』は、ふだんアニメを観ない方にもお薦めしたい作品です。劇伴もいい仕上がりになりました。物語と共に、楽曲のほうも楽しんでいただけたら嬉しいです。