INTERVIEW インタビュー

 

——石川さんが演じていらっしゃる木原紡を改めてご紹介いただけますか?

木原紡はマイペースというか、他人に流されない性格をしています。想うことは相手にキチンと伝えますし、芯があり、中学生にしてはかなり大人びている。ただ……良くも悪くも、思うがままに言葉を伝えてしまうので、受け取った側が感情を掻き乱されてしまう。光、まなか、ちさき、要には、とても影響を与えている人物だと思います。

——石川さんと似ているところはありますか?

けっこう正反対だと思います。紡はふだん物静かですが、僕はおしゃべりなほうですし(笑)。だから、紡のように芯を持った人間になりたいですね。紡を演じることで僕自身も成長し、共通する部分を作っていけたらなと思っています。

——これまでオンエアされたなかで、印象的だったシーンや台詞はどこでしたか?

第4話で、紡が光を大事に想っていることが顕著に出ている台詞がありまして……美海たちにおじょしさまをいたずらされた時、「光がみんなを誤解したことで、みんなに光を誤解されたくない」という。光のこともクラスメイトのこともちゃんと理解しているし、紡の優しさが出ていると思います。

——その光のことは、どう感じていますか?

大好きです。すごく真っ直ぐだし、物語が進むごとに彼の内面の成長も顕著に表れている。紡も素直なんですが、出し方は光とは違う。きっとお互い惹かれる部分は多いでしょうし、紡にとって光は大切な存在だと思うんです。光も紡を友達として受け入れられたのは、光自身の成長があったから。僕も自分と考えの違う人を受け入れるのには苦労しますので、光は格好いい男ですよね。

——紡に関しては、女性声優陣から第1話でまなかの“魚面そ”とまなかの胞衣(エナ)を「綺麗だ」とポツリと言うシーンに、「ドキッとしすぎて反則だ!」という声も出ていましたが(笑)。

あぁ……たしかに、ちょっと説明不足かも知れないですね、紡は(笑)。紡は海村の人にも何にも偏見がないので、素直に口から出たんでしょう。僕なら、あんなに素直に「綺麗だ」とは言えないですよ。

——光と紡は同い年のクラスメイトですが、アフレコ現場ではメインの男性キャスト3人もまるでクラスメイトのように仲が良いと伺っています。石川さんから見た、アフレコスタジオの雰囲気はいかがですか?

とても優しくしていただいてます。現場でもいつも男3人は隣同士で、作中の誰と誰がくっつくかとか、「このシーンのまなかが!」「このときのちさきが!」なんて話もよくしているし……あれ、これってちょっと中学生っぽいですかね?(笑)

——ところで、石川さんご自身はどんな中学生だったんですか?

膝を痛めてテニスは諦めたんですが、運動が大好きで体操とか少林寺拳法とか、いろんな運動部に入り、家に帰ってはアニメを観る生活でした(笑)。3年生のときには演劇部にも入り、そこからお芝居が面白くなっていきましたね。

——ちなみに紡は陸の人、光たちは海の人。石川さんご自身は、海と陸や山ならどちら派ですか?

虫が嫌いなので……海ですね。東京生まれの東京育ちなんですが、海にもよく行きますし、泳ぎは昔から好きでした。だから山よりも砂浜ではしゃいでいたいです、フナムシの出そうな岩場は避けて(笑)。

——そんな海辺の風景も見どころとなる『凪のあすから』ですが、実際にオンエア映像をご覧になっていかがでしたでしょうか?

画が綺麗で驚きました。背景の美しさは他の方が存分に伝えてくださってると思うので、僕はキャラクターの表情の機微に注目してほしいです。光が拗ねたときの口の動きだったり、瞳を見るだけでそのキャラクターの設定が想像できる描き方がされていたり。大人のキャラクターも魅力的で、僕は男気ある光のお父さん・灯が好き。父親としての立場と海村の宮司としての立場の間で葛藤していますが、各キャラクターごとにいろんな葛藤も描かれていて見逃せません。どこが魅力と一部分を取り出せないのが『凪のあすから』の魅力。何度も繰り返し観てほしい作品です。

——『凪のあすから』はファンタジックな舞台設定も魅力ですが、石川さんが子供時代、好きだった童話や絵本はありましたか?

『エルマーのぼうけん』が思い出深いです! たしか小学校中学年くらいだったと思うんですが、あれが初めて、親に読んでもらわずひとりで読み進めた本でした。

——劇中には、告白すると先のことを教えてくれるウミウシが登場しますが、石川さんが何かひとつ先のことを知ることができるとしたら?

自分自身のことでしたら、特に知りたくはないですね。でも紡のことなら、知りたいことはあります。僕には今のところ、彼の個人的な恋愛感情はくみ取れていないので、海や魚以外で好きという感情が、誰かに向けられることはあるのだろうか? その誰かを知りたいというより、向けられることがあるのかないのかが気になります。

——『凪のあすから』も先の展開がとても気になります。楽しみにしているファンの皆さんに、ひと言お願いします。

これからも複雑な人間関係が繰り広げられていきますし、周りの環境もどんどん変化します。それによって彼らも駆り立てられるところがあると思うので、どういう行動を取るのか僕自身も気になります。皆さんも、そんな彼らから目を離さずに、『凪のあすから』を見続けていただけたらと思います!