STORY ストーリー

その昔、人間は皆、海に住んでいた。
でも、陸に憧れた人たちは海を捨てた。
海で暮らせるように海神様がくれた、
特別な羽衣を脱ぎ捨てて……。

海で暮らす人、陸で暮らす人、
住む場所が分かれ、考え方は相容れずとも、
元は同じ人間同士、わずかながらも交流は続き時は流れた。

海底にある海村で暮らす
先島光、向井戸まなか、比良平ちさき、伊佐木要と
地上に暮らす木原紡。

海と陸。
中学二年生という同じ年代を過ごしながら
今まで出会うことのなかった彼らが出会った時、
潮の満ち引きのように彼らの心も揺れ動く。

ちょっと不思議な世界で繰り広げられる
少年少女たちの青の御伽話(ファンタジー)

脚本:岡田麿里/絵コンテ:篠原俊哉/演出:浅井義之/作画監督:石井百合子・頂 真司

海村に住む先島光は、それまで通っていた波路中学が廃校になったため、幼馴染の向井戸まなか、比良平ちさき、伊佐木要らと一緒に、地上にある美濱中学校に通うことに。
光の提案で全員波中の制服を着ていく約束をしていたが、まなかだけは「反感買っちゃうかも」と濱中の制服を着ていた。
それを見た光に怒られ、一度着替えに戻ったまなかだったが、皆の元に戻る途中、突如、頭上からふってきた網に捕らえられてしまう。
釣り上げられた彼女の目の前には、まなかを不思議そうに見つめる木原紡がいた——。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:岡村天斎/演出:安斎剛文/作画監督:高橋英樹

うろこ様の呪いでまなかの膝にできた“魚面そ”。
翌日ようやく消えたが、紡に、魚面その鱗と自分を綺麗だと言ってもらえたので、少し残念に思っていた。一方、学校で紡とまなかが話している姿を見つけた光は、「地上の奴らが、海村に関わるな」と突っかかる。
だがその後、不本意ながらも紡、まなか、ちさき、要たちと“おじょしさま”と呼ばれる木彫りの人形を作ることに。
文句を言いつつ放課後まで作業していた光は、他の三人と家に帰る途中、光の姉、あかりが地上の男といるところを目撃してしまう。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:浅井義之/演出:高島大輔/作画監督:野田康行

海村の大人たちに腕をつかまれ連れられるあかり。
それを止めようとする光たちだったが、“地上の人間と付き合うと、海村を追放される”という海村の掟を初めて聞かされる。
血気盛んな光はちさきたちの制止も聞かず、要と男だけの作戦会議を始める。
追い出されたまなかとちさき。すると、まなかがお腹の赤いウミウシを見つける。
誰にも言えない気持ちを伝えると教えてくれるという赤いウミウシ。
そのとき、ちさきはまなかにたずねる、「紡君のこと好きなの?」と……。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:安斎剛文/演出:太田知章/作画監督:川口千里

あかりの彼氏が、あかりや自分に時々ちょっかいを出していた潮留美海の父、至であることを知った光。その事実に動揺するも、二人を別れさせるのに協力してと頼む美海に、邪魔をするのは嫌いだと告げる。
翌日、家庭科の授業で、普段から家事をしている光は、鮮やかな手つきで料理を作っていく。楽しそうにする一同だったが、試食時には海村の班は孤立していた。まなかは勇気を出して他の班に料理を勧めるが、ぞんざいにあしらわれてしまう。それを見た光は思わず立ち上がろうとするが……。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:篠原俊哉/演出:市村徹夫/作画監督:西畑あゆみ

うろこ様と灯に、至への想い、そして自分の気持ちを打ち明けたあかりは少し笑顔を取り戻していた。そんな姉を見てホッとした光は学校へと向かう。いつもの通学路、ひとり遅れたちさきは浮かない顔でウミウシを眺め、まなかの言葉を思い出していた。「私の気持ち、なんとかしなくちゃ……」と思っていた時、漁の手伝いで遅れていた紡とばったり出会う。そして自分の心を見通されたかのように、自分の気持ちを問いかけられたちさきは、僅かに震えつつ想いを口にする。だが視線の先にはまなかが立っていた……。

脚本:横手美智子/絵コンテ:岡村天斎/演出:安斎剛文/作画監督:小谷杏子・竹下美紀

プールの授業で女子のスクール水着姿に一喜一憂する男子生徒たち。まだ地上の学校に慣れていないまなかたちも、どうにかクラスメイトたちと仲良くやれるようになってきた。「今日はタイム測るぞ」という先生のひと言に生徒たちから不満の声があがる中、光は紡にライバル心を燃やす。しかし海とは違う感覚、また紡が予想以上に速かったことに動揺した光は、焦って足先を飛び込み台の壁にぶつけて爪を剥がしてしまう。光の動きが突然乱れたことに気がついたまなかは、水中を漂う一筋の血を見た瞬間、プールに飛び込んでいた。

脚本:吉野弘幸/絵コンテ:浅井義之/演出:原田孝宏/作画監督:野田康行

放課後、木工室ではクラスメイトたちが集まり“おじょしさま”完成に向けてラストスパートをかけていた。
「できたぁ〜っ!!」という声とともに、湧き上がる生徒たち。
完成した“おじょしさま”を中心に飾りや付属物が並ぶ光景に、先生も目を輝かせていた。
そんな中紡から、昔のように海も地上も総出でやっていた「おふねひき」を出来ないかと提案があり、まなかやクラスメイトたちもそれに賛同。それを見た光は、海村の説得を自分からすすんで引き受け、紡に地上の村と全体をまとめるよう声をかける。

脚本:和場明子/絵コンテ:安藤真裕/演出:太田知章/作画監督:高橋英樹・川口千里

地上で至と共に生きていくことを決めたあかりと、姉と一緒に家を出ると宣言した光。
2人は引きとめようとするうろこ様の術を振り切り、なんとか地上へとたどり着いた。
至の家に姉と居候することになった光は、美海があかりに、本当は好きという気持ちを伝えたいと知り、まなかたちと一緒に姉へのプレゼントを街に買いに行こうと提案。
そんな光に少し驚きながらも美海の表情は明るくなっていった。
買い物当日、まなか、ちさき、要を加えた5人は慣れない券売機で右往左往。
そこに手を差し伸べたのは街へ向かう紡だった。

脚本:和場明子/絵コンテ:橋本昌和/演出:松林唯人/作画監督:杉光 登

薄く積もった“ぬくみ雪”を集めて雪ウミウシを作って遊ぶ美海とあかり。
そんな2人を眺めながら光は、海村とひとり残った父・灯のことを考えていた。
その頃、海村では男衆が公会堂に集まり、神妙な顔つきでうろこ様に目を向けていた。
宮司である灯が声をかけると、うろこ様は小さく息を吐き、真剣な表情でこの先訪れる禍事についての話を始めた……。
翌日、まなかのひと言から、中止になった「おふねひきを」を、自分たちの手で最後までちゃんとやるために、教師やクラスメイトは、準備のために奔走するのだった。

脚本:横手美智子/絵コンテ:安斎剛文/演出:熨斗谷充孝/作画監督:中野由香

うろこ様から、海神様の力がかつてとは比べようもない程弱く小さいこと、海にも地上にもぬくみ雪が降り積もり、世界はどんどん灰色に冷たく凍えていくこと、 エナを持つ者が凍える世界から逃れるには、眠ること以外に術はないことが告げられる。
いきなりの事に半信半疑の光は、地上のことを心配するが、 灯に「あいつらにはエナはない。何も言う必要はない」と突き放される。
諦めきれない光は、海神様の力を取り戻すため何が何でも「おふねひき」を実行するんだと、まなかたちを引き連れうろこ様に直談判に行くのだが……。

脚本:吉野弘幸/絵コンテ:市村徹夫/演出:市村徹夫/作画監督:皆川一徳・高橋英樹・川面恒介・大東百合恵・小島明日香

「もう、傍観者でいるのに飽きたんだ」「俺、ちさきのことが好きなんだよね。かなり前から」。
突然要にそう告げられたちさきは、その言葉をうまく受け入れられずにいた。
そして光やまなかも“ぬくみ雪”の脅威から逃れるための冬眠、海神様に力を取り戻してもらうための「おふねひき」などの準備に追われ、 幼馴染のまま、いつまでもいつまでも続くと思っていた彼らの関係は、いつしか大きな変化の時を迎えていた……。
冬眠につく日と「おふねひき」が奇しくも同日と決まり、徐々に時間が迫る中、あかりは皆にひとつの想いを打ち明ける。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:安藤真裕/演出:太田知章/作画監督:川面恒介・大東百合恵

おじょしさまの代わりに自分が船に乗り、「おふねひき」が終わったら海神様に嫁いでいく気持ちで、至のもとへ嫁ぎたいと告げたあかり。
それは最初の「おふねひき」を目指して、もう一度動き出した瞬間だった。
そんなあかりにブーケを作るため空地で花を摘むことにした美海とさゆは、そこで地上に出てきた灯と出会う。
初めて見る灯に驚く少女たちだったが、光やあかりの父であることを知った美海は、光たちが海で冬眠するよう伝えてほしいと願い出る。
だが逆に灯から「地上で生きたほうが幸せなのかもしれない」と告げられるのだった。

脚本:吉野弘幸/絵コンテ:安斎剛文・篠原俊哉
演出:高島大輔/作画監督:野田康行

家でまなかのことを思い出していた光は、シオシシオに戻った彼女に改めて自分の気持ちを伝える。
まなかも光に何かを伝えようとするが、「おふねひき…終わったら言うね」と微笑み答えるだけだった……。
「おふねひき」当日、それは光たちが冬眠する日でもあった。地上の美濱中学校に初めて登校した時と同じように、幼馴染の4人はそろってうろこ様がいる鳴波神社へ挨拶に向かった。
そして、最後は自分たちに進む道を選ばせてくれた大人たちに見送られ、紡やあかりたちの待つ地上へとあがっていくのだった……。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:佐藤卓哉/演出:菅沼芙実彦
作画監督:川面恒介・大東百合恵・小島明日香・川口千里

汐鹿生の“冬眠”当日に開かれた“おふねひき”から5年。光やまなかの行方が分からぬまま、19歳となったちさきは紡の祖父、勇を見舞いに病院を訪れていた。
「看護学校を卒業したら、ここに来るといいわよ」と看護師に声を掛けられ、微笑むちさき。短いようで長い5年という年月は彼女の環境を大きく変えていた。
紡は異常気象を解明するため都会の大学へ、14歳となった美海とさゆは美濱中学校に進学。そして至とあかりとの間には男の子(晃)が生まれていた……。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:許 琮
演出:安斎剛文・原田孝宏
作画監督:西畑あゆみ・川口千里・宮下雄次

巴日の日、5年前と変わらぬ姿で美海たちの前に流れ着いた光。
“おふねひき”の当日からの記憶が一切なかったが、身体には異常なく次の日から潮留家で以前と変わらぬ生活を送ることができた。
ちさき、紡、美海、あかりたちは喜びと共に光を迎えるも、突然のことにどう接していいのか分からずにいた。
また光本人も、紡と一緒に海村の研究している教授の三橋から、世界は依然凍っていっていること、自分以外汐鹿生の人間は誰も目覚めていないことを知り愕然とする。

脚本:横手美智子/絵コンテ:柿本広大/演出:松林唯人
作画監督:高橋英樹・小島明日香・金 起杜

以前のように美濱中学校へと通うことになった光は、美海、さゆと同じクラスになる。
「ダブりの先島です。どうぞ先輩と呼んで尊敬してください」と挨拶する光に、5年前と同じ担任の教師がツッコミを入れ生徒たちの笑いを誘う。だが美海、さゆはその状況を不思議に感じていた。
次の日曜日“おふねひき”当日に制服を無くしてしまった光のため新調しに行くことになっていたが、晃が熱を出してしまい、光は美海と2人で出かけることに?

脚本:根元歳三/絵コンテ:阿部記之/演出:阿部記之
作画監督:嶋田和晃

冬眠から目覚めた要。あかりから報告を受けた光と美海が漁協に急ぐと、そこには光と同じく5年前と変わらぬ要の姿があった。
また知らせを聞いたちさきと紡も漁協に駆けつけるが、要は2人一緒に現れたことに少し動揺してしまう。だが久しぶりの再会に笑顔を見せるのだった。
その後、三橋から幾つか質問を受けることに。要自身ほとんど記憶はなかったが、砂が流れるような音がした気がすると答える。それを聞いた美海は、自分も今日、海に入った時その音を聞いたと言うのだが……。

脚本:西村ジュンジ/絵コンテ:篠原俊哉
演出:太田知章
作画監督:西畑あゆみ・川口千里・金 起杜

三橋の予想を元に汐鹿生への道を探るべく海に潜った光、要、美海の3人。
美海が聞こえたという砂の音を頼りに海流の中を進むと、そこには雪に覆われた汐鹿生があった。光たちにとっては懐かしく、美海にとっては初めて訪れる海村。
静寂に包まれた村を歩く3人は、未だ冬眠から目覚めぬ村人たちを見つける。光と要はそれぞれの家に向かい、ひとり残された美海は光たちが通っていた波路中学に向かう。そこで美海の前に現れたのは……。

脚本:吉野弘幸/絵コンテ:安藤真裕/演出:菅沼芙実彦
作画監督:川面恒介・大東百合恵

“おじょし様の墓場”で厚いエナの膜の中で眠るまなかを見つけた光たち。
エナを失いかけていた彼女をなんとか地上に運び潮留家まで連れて行くが、まなかはまだ眠ったままだった。
その後、医師の診察を受け、エナは無くなったものの身体に異常がないと分かり、ホッとする一同。
医師が帰ったあと、眠るまなかにひとり話しかける光の姿があった。それを見る美海は何を想うのか。
一方で勇を見舞いに行ったちさきは、勇からおじょし様の話には続きがあると聞かされるのであった。

脚本:和場明子/絵コンテ:許 琮/演出:高島大輔
作画監督:野田康行・明珍宇作

おじょしさまの墓場で眠るまなか見つけ地上に連れ出した光たち。自分たちと同じようにすぐに目覚めると思っていたが、一週間経ってもまなかは眠り続けたままだった。
光、要、ちさきは、まなかを目覚めさせる手がかりを探すため連日汐鹿生に潜っていた。一方、美海とさゆも学校の図書室でさまざまな文献を調べることに。
白雪姫からヒントを得たさゆの「光がまなかにキスしちゃえばいいと思うんだ」というひと言を強く否定する美海。そこで美海は本当の自分の気持ちに気付くのだった……。

脚本:横手美智子/絵コンテ:安藤真裕/演出:許 琮
作画監督:高橋英樹・西畑あゆみ・小島明日香

光と美海が言い争う中、突如目覚めたまなか。驚く光と美海をよそに、まなかはまるで何事もなかったかのような笑顔を見せる。
エナが突然なくなってしまった原因は分からずじまいだったが、ほかに異常はなく、そのまま至の家に居候することになる。
流氷、降り積もったぬくみ雪、5年前と変わった町並みに驚きつつも、再びみんなでいられることが嬉しそうでもあった。だがそんな彼女の笑顔に、光はどこか違和感を覚えるのだった。

脚本:根元歳三/絵コンテ:室井ふみえ
演出:熨斗谷充孝
作画監督:竹内由香里・阿部千秋・清水恵蔵・徳川恵梨
桝井一平

うろこ様のことを話題にした紡の肘に、以前のまなかと同じ魚面そができる。それを知った光たちは、うろこ様が海の中では無く地上にいると確信。
汐鹿生の皆のこと、これからの地上のこと、そしてエナを失ったまなかのことを聞き出すため、美海、さゆも交えて、うろこ様探しが始まる。
そんな中、空き地の土管に仕掛けたHな本とたけのこの煮物がなくなっていることに気付くまなかたち。まなかは絶対うろこ様だと大騒ぎ。そんなわざとらしいほど元気に振る舞う彼女に、光は疑問に思っていたことをぶつける。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:市村徹夫/演出:市村徹夫
作画監督:大東百合恵・鈴木海帆

まなかが人を好きになる心を無くしていることをうろこ様から聞かされた光と美海。
どうすれば元のまなかに戻るのか、そればかり考える光はまなかの顔をまともに見ることができなかった……。
2人はちさき、要、紡、さゆにまなかのことを相談しようとする。今までのように皆で考え、何か解決策に繋がればと期待したのだが、要やちさきからは解決策どころか、今のまなかは楽しそう、好きの感情が戻ることで逆に辛くなることもあるのではと予想外な言葉が返ってくる。
それを傍でじっと聞いていたさゆが叫んで……。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:吉原正行
演出:菅沼芙実彦・松林唯人
作画監督:川面恒介・川口千里・小谷杏子・宮下雄次

ちさきを追って海に飛び込んだ紡。息が出来ず意識を失いかけるも、突如身体にエナが生まれ呼吸ができるようになる。
ちさきに追いついた紡は、冬眠する汐鹿生で自分の想いをちさきに伝える。感情が交錯するちさきは涙ながらにその場から走り去ってしまう。
その一方、晃からの手紙を受け取るまなか。そこには一生懸命な文字で「まなか、だいすき」と書かれていた。
だが、誰かを好きになる心を失くしてしまったまなかは、晃の気持ちにどう答えて良いか分からず、無言で立ち去ることしかできなかった……

脚本:岡田麿里/絵コンテ:安藤真裕
演出:安藤真裕・許 琮
作画監督:高橋英樹・西畑あゆみ・宮下雄次
小島明日香・大東百合恵

ぬくみ雪の脅威を少しでも抑えるため、そしてまなかの気持ちを取り戻すため、光たちは再びおふねひきをすることに決める。
祭りの前日、皆が準備をする中おじょしさまに着けられた赤ウミウシのペンダントにまなかの“好き”が詰まっていると聞かされた晃は、突然ペンダントを引きちぎってしまう。
そのはずみで海に吸い込まれるよう落ちていくペンダント。慌てて海に飛び込む美海だったが、溶けだしたウミウシの石の小さな粒子から、5年前、ウミウシにつぶやいたまなかの声が聞こえてくる。

脚本:岡田麿里/絵コンテ:篠原俊哉・安藤真裕
演出:篠原俊哉・菅沼芙実彦・許 琮
作画監督:石井百合子・川面恒介・大東百合恵
西畑あゆみ・川口千里

まなかを助けるため海神様の大渦に呑み込まれ、おじょしさまの墓場で繭のようにエナに包み込まれる美海。
彼女を追ってきた光と紡は、海神の力に阻まれ手を出せずにいた。
紡はほかに異変が起きていないか調べるためうろこ様の社に向かうのだが、光はまなかの気持ち、そして美海の気持ちを知り、その場から動けずにいた。
“人を好きになる気持ち”を改めて実感して苦悩する光。
そんな姿を繭の中から眺める美海は、ひとつの想いを強く感じていた。
「好きになる気持ちは、ダメじゃない」と――。